2020/08/13 17:26
開業準備のため、先日ついに鹿児島に移住した。
東京で最後に暮らした家は、狭くて、少し古くて、どうやったら暮らしやすくなるかと色々と工夫してきた。その前の家は 2LDK、56㎡分譲マンションのファミリー向けの部屋だった。しかし、打って変わってこちらは単身者用と思われる 1DKの36㎡。荷物搬入時、どんどんダンボールと家具に埋もれていく部屋に佇みながら、荷物は全部入りきらないだろうなと途方に暮れたこともよく覚えている。
しかし、住めば都とはよく言ったもので、もっとこうしたら、もっとこうしようってしていく内に、古さとか狭さなど、最初に感じた色々は気にならなくなって、逆に、だからこその我が家だと思うようになっていった。
これは5月のある朝。爽やかな光がとても気持ち良い日だった。
こちらはキッチン、奥がリビング兼寝室。
当時家具屋に勤めていて、そこで買ったチェリー材の食器棚。同棲を始める際に買った思い入れのあるもので当時23歳。インテリアを仕事にし始めて色々な知識が紛いなりにもついてきていた時期。自分の好きな傾向とか、今後増えるだろう家具との相性、床の色との相性…色々悩んだ末の購入だったし、何よりこんなに大きな家具を買うのは初めての経験なので、ビビリながらも決済したことを昨日のことのように覚えている。当時流行っていたインダストリアルな雰囲気も、王道の北欧も、そして古民家みたいな和テイストの家も、どれも良いなと思っていて、どうもテイストが絞れなかった、、。でも、決め手になったのはその、どのタイプに自分が転んでも、きっとこの食器棚は活躍してくれるだろうと感じたからだった。
あれから9年(長いっ)経つけど、やっぱりこの部屋にも合っていたし、次の部屋にも合うだろう。
高さのない食器棚なので、奥行き&幅しっかりある割に圧迫感が少ないのもいい。
→unico BREATHカップボード(現在は取り扱い無いようです、SOTOというシリーズに近いのかな)
ライトはおおやぶみよさんのもの。今は鎌倉にある夏椿さんが世田谷にあるときに購入。ガラスのぽってり感と透明感がなんとも言えないこの陰影を作っていて、このキッチンの空間がどれほど愛おしくなったことか。照明って大事です。
作業台はIKEAで購入した机の天板を自分たちで適度な大きさにカットして、色も塗った。食器棚がチェリーなので、それに近しい色に。作業台の下は無印良品のシェルフ大と小、ベンチ(商品名違うかな)です。細々としたシェルフに天板一枚乗せて一つの台に。視覚的にもスッキリしてこの仕組みを完成させた時には、思わず天才!と自画自賛した。
二人向かい合って作業するにも十分な広さで、この作業台のおかげで作りたくなった料理やお菓子は山程ある。料理がしやすくて料理が好きになった作業台。たかが板、されど板。偉大である。
少し古めのシンク周り。築15年以上の賃貸物件にはあるよね、このタイプ。のシンク。ただでさえ古いので清潔にしていたくて置いておくものは最小限に。拭きたいときにササッと拭けるように、出してある調理器具は少ないほうかもしれない。こじんまり囲まれたコックピット感あるキッチン。かわいい。笑
この、なんてことない白いタイルも好きだった。電球色の黄色い灯りにこのタイルが照らされるとき、艶っぽいタイルが本当にいい色になった。大してタイル好きではないんだけど、次の家にも、このなんてことないタイルをどこかに付けたいなと目論んでいる。
アイスコーヒーが美味しそう〜。
板乗せただけ、の、なんちゃって作業台では、出来たて、焼き立て、揚げたて!を摘む場所にもなったし、立ち晩酌する場所でもあった。隣のリビングで食べるのとは違う、なんて言えない嬉しい特別感があった。日曜の夜、ラジオ『Travelling Without Moving』の訓市さんの声と心地よい音楽を聞きながら、ゆっくりと料理して食べてお酒飲んで、、という時間が特に想い出深い。至福の時間とは、まさにこのこと。。
こちらはリビング。
リビングは8畳で、ダイニングテーブルとダブルベッド、シェルフが一つ。この家の好きなところに、建具、ドアの淵の所、床と壁を繋ぐ巾木、クローゼットの色が同じくすんだグレーで、その色が大好きだった。壁の白と、このグレーの色と、床の色が絶妙にマッチしてると思っていて、この色味をチョイスした内装業者さん?大家さん?に感謝したいくらいに好きなところだった。壁紙もビシッと貼られていて3年間なんの劣化もなかったし、その緻密さは、外観とは裏腹に建物の古さを感じさせなかった理由の一つだと思っている。
そのセンスと技術に、世田谷クオリティーと勝手に命名していた(世田谷区のマンションだった)
こちらはベッド周り。寒い日ベッドをソファ代わりにぬくぬく。ここから一歩も出ないぞ、と白湯と雑誌、本をセッティングして。
白い布はリネンを簡単に縫って作成。透ける日差し越しに、緑と風で揺れる感じが何とも涼しげ。右側の窓にはブラインドを。カーテンではなくブラインドにすることで少し脱・住居感、少し無機質で事務所っぽい・ホテルっぽい感じになるのが好き。木製だと重い印象になる気がして、白だと眩しすぎる…と淡いアイボリーに。前の家でも使用していて、ニトリでオーダーしたもの。
ここで過ごしたのは、3年と半年。本当はもっと過ごしたかったけれど、そろそろ次のステージというか新たな場所に行くのもいいタイミングかなという気もしている。はっきりと思うのは、東京での最後の住まいがここで良かったなということ。暮らすうちに家への考えや、愛着の湧き様には新たな発見があり、私達の住居観を変えたと思う。それがあったからこそ、移住を決断したし、現在の鹿児島での暮らしもイメージ出来るようになったから。家で過ごす楽しみを教えてもらった。
これからどうなるか未知だけど、ここで暮らした経験がこの先をきっと繋いでいくと信じている。
LOVE SETAGAYA’S MY HOUSE! ありがとう!